インドに暮らして想う事。インドでのパン作り

インドに暮らして想う事&インドでのパンの作り方を配信します。

インドのロックダウンと家出、そして感動。

ロックダウンまでの流れ

 3月19日の午後8時 モディー首相の演説で3月22日は1日間外出禁止日にと発表

 3月22日、23~31日は首都ニューデリー・グルガオンなど感染者が確認された場所の封鎖と外出を原則禁止する事を発表

3月24日 3月25日から4月14日まで3週間インド全土を封鎖することを発表し実質外出禁止となる。

日に日に厳しい状況になる。

営業できるのは病院・薬局・食料品店など限られたお店のみで通常300店舗以上あるローカルマーケットでも開いているのが薬局、八百屋、パン店で5~6店のみ、98%以上のお店が閉店しています。 

f:id:Bread-thought:20200331154547j:plain

3月24日のモディー首相の演説はインドの80%を占めるヒンドゥー教徒の心を打つような内容だったと思います。ヒンドゥー教聖典である「ラーマヤーナ」の内容から大事な人を守るため家の周りに結界を張り巡らした話を引用して大事な人を守るのはあなた自身です。一歩も外に出ないようにしましょうと言うスピーチを行った。

その演説の内容を受けて営業が可能な食料品店も営業をするのがとても難しくなった。

・家族が外出をして出勤することを反対して親、兄弟の反対で出勤できなくなったスタッフ、

・家の大家さんから同じゲートを通って出入りすることを拒まれたスタッフ、

・それ以前にデリーから出勤していたスタッフもゲート封鎖、メトロストップで通勤出来ない。

・通勤途中で棒を持った警察官に外出するな!家に戻れ!と怒られるのが怖い。

・お客様もドライバーが居ない。敷地内から出られない。途中で警官に行き先を度々聞かれ注意を受ける。などの影響で遠方からの買い物が難しくなり、お客様の来店数が大幅に減る。

などの影響でお店の営業が難しくなる。

 

家出をする。

 自分の住んでいる家も3階建ての3階部分を借りて暮らしているのですが、2階、1階の住人達から毎日出勤して同じゲート・玄関から出入りする事を拒まれた。

あなたは食料品を製造販売して出勤しなくてはならない事情も分かるが、自分たちも大事な家族を守らなくてはならない。敷地内にウィルスを持ち込む原因になることは絶対に認められない!というのが住人の言い分。24日のモディー首相の演説内容を考えると住人たちの言い分もわかる。自分が毎日出勤することで住人達を不安な気持ちにさせる事も間違いない事実だ。

26日の朝、必要な荷物をまとめてしばらくホテル住まいをする事にする。

ホテルもネット予約は出来ず、直接ホテルのフロントへ行ってオーナーに電話を繋いでもらって交渉してホテルの宿泊も許可されると言う状況です。

首都の封鎖は前もって予想されていたのでデリー在住の主要メンバー2名をホテルに住んでもらっていたのでその2名のスタッフと同じフロアーで生活してます。

お店から徒歩2分の新しいホテルで以外に快適です。

f:id:Bread-thought:20200331154946j:plain

 

食料品店営業許可内容

 お店を開けていると警察官の見回りが来ます。

販売している商品内容のチェックと指導があります。

営業条件として

  • 店内にいるスタッフはもちろんお客様もすべてマスクを着用している事。
  • お客様は1人ずつ店内に入って頂く事(ご夫婦・家族であっても同時入店不可)
  • 2人目以上のお客様はお店の前で1メートル以上の間隔を取って並んでお待ち頂く事。

以上の条件が守られていない場合は即刻シャッターを下ろされ、警察がシャッターを封印すると言う事です。

 

こんなに厳しい条件を設けて本気で新型コロナウィルスの感染拡大阻止に取り組んでいるインドの現在(3月31日)の感染者数は人口13億人に対して1365人。お店のあるハリヤナ州においては36人程度で充分日本よりも安全と言えるレベルだと思います。

インドから日本を見ていると大丈夫?って心配になる。

確かにやり過ぎじゃない?っていう声もあるけど、今回は新型コロナウィルスと言う事で誰もこの正体を知っている人が居ない。Evidenceが無い。この状況下ではやり過ぎぐらいにしてすべてに警戒してEvidencわかってきたところから少しずつ規制を緩めていくと言うのが正しい判断なのかもしれないと思います。

でも、今後の経済面での後遺症が出てくることは必至です。

そこをどうやって乗り越えていくのが今後のインドの課題だと思っています。

100年に一度と言われる、将来教科書に載るようなこの状況をインドで経験しているのだからこの目でしっかりと状況を見て脳裏に焼き付けたい。

 

感動

 こんな状況下でお店を開けているとたくさんの感動もあります。

徒歩で30分とか1時間かけてお店に来て頂くお客様もいる。

挙句に外で並んで待って頂き、帰りにお店を開けて頂いてありがとう!頑張ってくださいね!って声をかけて頂ける。

たくさんの方々からメッセージも頂きここが開いていると思うだけで幸せな気持ちになれます。今は買いに行けないけれどもロックダウンが解除されたら絶対に行きます!頑張ってください。このお店が開いていると言う事が我々日本人の希望の光です。と言ってくださる方々がいる。

韓国人のお客様もライングループで連絡を取り合ってここが開いていると言う情報をもとにたくさん来てくれます。ちゃんとルールを守って並んでくださりお店を開けてくださってありがとう!買い物ができて幸せです!って言ってくださる。

それにデリー在住のスタッフも家にしばらく帰れない事を覚悟の上でホテルに泊まり込んで毎日お店を開けてくれる。マネージャーも家族を説得して毎日通勤してくれる。

こんなお客様とスタッフに支えられてお店を開ける事が出来ています。

 

日系の企業やレストランなども営業する事すらできず不安な日々を送っておられると思います。そんな中でお店を開け続けられることに感謝しています。