インドに暮らして想う事。インドでのパン作り

インドに暮らして想う事&インドでのパンの作り方を配信します。

妻が癌になりました。

日本ではごく普通に会社勤めをして管理職として仕事をし、妻とも喧嘩をすることもなくごく普通に夫婦生活を送っていて、何か不自由な事があったかいと言うとそんなこともなく、妻と一緒になって30年の時が過ぎた頃、

インドで仕事をしてみないかという話を頂いて、

今まで自分のやってきたキャリアが海外で通用するのか?

まだ元気で働ける今のうちに一度海外で仕事をしてみたい。

日本のパンやお菓子をインドの人達に伝えたい。

日本のパンやお菓子を作れる職人さんを育ててみたい。

 

そんな気持ちを抑えられなくなり妻に相談をして快くインドに送り出してくれて応援をしていてくれた。

 

インドに渡り丁度6年が過ぎた今年の12月、妻から肝臓に癌が見つかったので手術が必要になったと連絡が入った。

 

その話を聞いていろいろと今までの事を思いだしてなんとも言えぬ気持ちになった。

罪悪感に似た気持ちかもしれない。

サンドゥグジュベリの星の王子さまが自分の星に一本のバラを置いて地球に来た時に地球でたくさんのきれいなバラを見たけれど、

自分と一緒の時間を過ごしたあのバラが自分にとっては特別なバラで唯一のバラの花だと気づいたように・・

まさに自分にとっても特別な大事な存在であって、遠く離れていても妻がいてくれるからこそインドで自分は仕事が頑張れていると言う事を改めて感じた。

12月21日の夜の便で日本に向かい22日の昼過ぎには病院に到着した。

病室のベットに横になっている妻は心なしか弱弱しく感じた。

癌は幸いにもステージ2のレベルだが癌の場所が奥深く、切り取るのが難しいかもしれない。

もし切り出すことが出来なければそのまま切り取らずに傷口を縫い合わせて抗がん剤治療を行わなくてはならないそうだ。

 

翌日、23日の朝一番からの手術と言う事で8時前に病室に向かった。

8時40分にベットに寝たままの状態で手を振りながら手術室に向かっていく妻を祈るような気持ちで見送る。

何かあったらすぐに連絡をするのでここでお待ちくださいと言われ待合室で待っている時間はなんとも長く感じた。

午後3時に漸く手術が無事に終わったとの連絡があり、先生の話を聞けた。

無事に癌は全部取り除けたので問題ないとの事で、切り取った肝臓の写真を見せてもらった。切り取った肝臓の一部に黒い腫瘍があった。

午後4時に麻酔から覚めた妻がベットのまま病室に戻ってきた。

酸素マスクをつけたままで意識はもうろうとしているものの呼びかけにはちゃんと答えられる。そのまま今日は休んだ方が良いと言う事でそのまま寝た姿を見て少し安心した。

24日、面会時間に病室に向かうと麻酔が完全に切れて傷口はかなり痛むようだが朝から看護師さんに抱えられながら歩行練習をしたそうだ。

 

こんな状態にありながらもインドのお店もクリスマスイブで一番忙しい時期。

忙しい時期に自分が日本に戻ってしまった事も気になっていた。

メッセンジャーを開くとサンタクロースの帽子を被ったスタッフ達の写真と一緒にたくさんのメッセージがありました。

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奥様の手術はどうでしたか?

私たちの願いはあなたの奥様の手術が成功して早く回復する事です。

私たちは彼女に最大の祈りを捧げます。

という言葉が添えられていました。

 

自分と一緒にずっと5年以上働いてくれている。

製造のシェフにも忙しい時に居なかったけど、よく頑張ってくれた。ありがとう。おかげで妻の手術は成功したよとメッセージを送ったら、

thanks to chef it's my pleasure we putting all our efforts. I am happy for your wife for a successful operation I will pray God give her long and happy life

と返事が返ってきた。

 

こんな状況の中でも妻の手術が成功してくれた事。

そしてクリスマスの一番忙しい時期に自分が居なくてもみんな精一杯頑張ってくれたインドのスタッフ達が少し誇りに思えた事

この2つが自分にとってのクリスマスプレゼントだったのかもしれない。

 

妻は気丈にも毎日リハビリを続けていて、後10日程で退院できるだろうとの事。

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病院の待合室に飾られたクリスマスツリー

23日はこのツリーを眺めながら祈るような気持ちで6時間手術が終わるのを待っていました。